いとかねとは、糸(いと)矩(かね)と書くのでしょう。
この”いとかね”を心に持つべしと武蔵は兵法三十五箇条のなかで言っている。
イメージとして、直感の糸を何本も自分と相手の心に、貼り巡らす。
それで相手の心の動きを知る、
という意味。この糸を定規として、敵の心の、張り、緩み、強弱を測れという。
いとかねという、観の目の高性能センサーの装置を身体に作り出す、高等技法だ。
それを、だれにでも分かり安い例えで、かつさり気なく教えてくれている。
感じる力の大事を活用するためのことばである。
「相手の心に、いとを付て見れば、強き処、弱き処、直き所、ゆがむ所、はる所、
たるむ所、我心をかねにして、すぐにして、いとを引きあて見れば、人の心能しるゝ物也。」